子どもの成長は、何物にも代えがたい宝物|親だから感じられる幸せのかたち

コラム

「あれ、大きくなったな」と気づいた、ある朝のこと

子どもが、ひとりで靴ひもを結んだ。

ただそれだけのことなのに、なぜかぐっと胸が詰まった。

昨日まで「ママやって」「パパやって」と言っていたのに、今日は黙って、真剣な顔で、小さな指をゆっくり動かしていた。うまくできなくて、やり直して、またやり直して——それでも、助けを求めなかった。

親というのは、不思議な生き物だと思う。子どもがひとりでできるようになるたびに、心のどこかで「もう必要とされなくなった」と寂しくなる。それなのに、同時に、こんなにも誇らしく、うれしくて仕方がない。

成長の瞬間は、突然やってくる

子どもの成長は、じわじわとではなく、ある日突然やってくることが多い。

昨日まで「あー」「うー」しか言えなかったのに、今日初めて「ままー」と呼んでくれた夜のこと。初めて立ち上がって、ひょこひょこと歩いた日のこと。転んで泣いて、それでも立ち上がって、また歩いた日のこと。

そのどれもが、世界でいちばん大切な瞬間に感じられる。

「こんなことで泣くなんて」と自分でも思う。でも、涙は止まらない。子育ての涙は、悲しみではなく、命の輝きに触れたときに溢れるものだから。

「親になってよかった」と思う瞬間

正直に言えば、子育てはしんどい日もある。

寝不足の日も、思い通りにいかない日も、自分の時間が全くない日も。「もう限界だ」と思って、それでも明日になったら続けている。

でも、そんな疲れた日の夜に、子どもが寝顔を見せてくれたりする。ふわふわの頬、ちいさな手、すうすうと規則正しい寝息。

「あぁ、生まれてきてくれてありがとう」と、心の底から思う瞬間がある。お金では買えない、何にも代えられない気持ちが、胸の中いっぱいに広がる。

あの瞬間のために、明日もがんばれる気がする。

子どもは、親を育ててくれる

子どもを育てながら、実は自分が育てられているのだと気づいたのは、いつのことだっただろう。

子どもは、大人が忘れてしまったことをたくさん知っている。

虫を見つけたときの純粋な興奮。水たまりを踏む喜び。空の色が変わるのをじっと見ている時間。大人になったわたしたちは、そういうことをいつの間にかやめてしまった。でも、子どもと一緒にいると、その感動を思い出す。

「ねえ見て!」と呼ぶ子どもの声に、「何?どうしたの?」と一緒に駆け寄る。そのとき、自分も子どもになっている。子どもがいなければ、もう一度感じることのなかった喜びを、子どもがくれる。

親が子どもを育てるのではなく、子どもと親が一緒に育っていく。そう思えるようになったとき、子育ての意味が少し変わった気がした。

「できた!」のひと言が、すべてを報いてくれる

子どもが何かを習いはじめたとき、なかなかうまくできない時期が続く。

自転車、水泳、ひらがなの書き方、なわとび——。何度やっても失敗して、泣いて、それでもまたやって。そのたびに、親のほうが心が折れそうになる。「もうやめていいよ」「無理しなくていいよ」と言いそうになる。

でも、子どもはあきらめないことが多い。子どものほうが、ずっとずっと強かったりする。

そして、ある日突然「できた!」が来る。

子どもの弾けるような笑顔。「見てた?見てた?」と何度も確認してくる目。そのとき感じる幸福感は、言葉では表せない。プライスレスとはこのことだと思う。

子どもの「できた!」は、親の「生きていてよかった」に変わる。

成長するにつれて変わっていく「幸せのかたち」

子どもが幼いころの幸せは、体温で感じるものが多い。抱っこしたときのあたたかさ、手をつないだときのやわらかさ、ぎゅっとしてくれるときの力強さ。

それが少し大きくなると、言葉で感じるものに変わっていく。「ありがとう」「大好き」「ママの料理が好き」——そんなひと言が、どれだけ親の心を満たしてくれるか。

さらに大きくなると、その子の生き方そのものに感動するようになる。友だちのために泣けること、失敗しても立ち上がれること、自分の言葉で夢を語れること。

幸せのかたちは変わっていくけれど、「この子の成長を見ていたい」という気持ちは、ずっと変わらない。

この子がいる人生で、よかった

子どもを持つ前の自分には、想像もできなかったことがある。

こんなに誰かを好きになれること。こんなに誰かの幸せを自分のことのように願えること。こんなに、誰かの笑顔だけで自分が救われること。

子どもの成長を見守ることは、ときに苦しく、ときに切なく、でもそれ以上に、どんな宝物よりも輝いている。

「親になってよかった」という気持ちは、毎日積み重なっていく。子どもが笑うたびに、泣くたびに、何かを乗り越えるたびに。

子どもの成長は、親にとって何物にも代えがたい幸せだ。

それは、お金でも名誉でもなく——この子と、ともに生きた時間だから。


子育ての毎日、お疲れさまです。今日もあなたは、誰かの大切な「ママ」「パパ」「おかあさん」「おとうさん」です。子どもの小さな成長を、どうか見逃さないでいてください。それは、あなたにしか見えない奇跡です。

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